短編小説

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「婚約破棄も追放もされた元聖女ですが、料理で人助けができるようです~食いしん坊オオカミと狩りからはじめる魔物料理~」目次

落ちこぼれ聖女のフィアルカは、特別な料理を作れることで役に立っていた。だが濡れ衣を着せられ、婚約破棄され、追放されてしまう。相棒の巨大狼と一緒に国境を越えようとする最中、ある青年と出会う。青年はいきなり倒れてしまい、フィアルカはなりゆきで助けることになるが…

傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。【IF】太陽に至る坂

「……では、書はこちらに」 わたしが言うと、今度の《太陽の御子》――ユージーンという男は少しためらい、気恥ずかしそうに文を渡した。《太陽の御子》は、遺書のようなものを残すことになっている。文字の書けないものは神殿の筆記係に口頭で伝え、言い残…

傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。1

「大昔からさ、この坂の上から太陽がよく見えたんだって。あ、昔は天然のやつだったんだって」 メエエ、と呑気な羊の声にまじって、もっと呑気にエミリーのやつが言った。「すごいよねえ。太陽って大昔は、天然のものがあって、そのまま空に浮かんでたんだっ…

「傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。―坂の下で別れる前に―」目次

ユージーンは故郷の村を飛び出したが、成長して傭兵となり帰ってきた。 彼には、いつも世話を焼いていた幼なじみのエミリーがいた。 戦場をくぐり抜けるたび、思い出すのはなぜかこのエミリーだった。 そのエミリーと再会し、二人で、ある晴れた日に、のど…

わたくしの美しい姉の事

 わたくしの事……でございますか? わたくしの、姉ではなく? 何とまあ、異なことを仰る。  お気持ちは嬉しく思います。しかしわたくしはこの様に、到って平凡な、つまらぬ女なのでございます。 美しい姉の、妹。姉と異なり、特筆すべき処など何一つ無…

一年一夜を百束ね、百番目の姫は語る3

「――そのようにして王の一族は永く繁栄し、いまもどこかで命を存(ながら)えさせているのでございます」 一度もつかえることなく、私は語り終えた。 ――王はやがて、自らを並ぶ者なき権力者、そして唯一物語りの呪力を享受する者として“聞皇”を名乗る…

一年一夜を百束ね、百番目の姫は語る2

 ――その昔。どこか、遥か遠い地の話にございます。 そこには、人を喰らう王がおりました。 いえ、いえ、何もその王は、歯をたててばりばりと頭から人民を喰らったのではありません。 むしろ彼の地は長く平和で、静謐に満ちておりました。 民はことごと…