短編小説

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ある令嬢と騎士の、悲しい恋の果て2

 ただ何人かが、年頃の娘に特有の繊細さとか、緊張とか、慎みといったもののせいではないかと言っていました。当時の私は、そんなものなのかしらと思っていました。 熱を出したり寝込んだりはしましたが、それ以外の体調不良はなかったからです。 彼は、と…

ある令嬢と騎士の、悲しい恋の果て1

 ――その日、一人の老嬢が死んだ。 かつての婚約者の訃報を聞き、後を追うように亡くなったという。 身の回りは綺麗に整頓され、遺書らしきものも残っていたため、自ら命を絶ったようだとされた。 老嬢は妙齢のころ、婚約者に裏切られ、疎まれて修道院に…

「ある令嬢と騎士の、悲しい恋の果て」目次

幼馴染で、お互いに思いあう婚約者でもあったある令嬢と騎士。だが一人の美しい令嬢が表れることで、騎士は婚約破棄し、幼馴染の令嬢を捨てた。幼馴染の令嬢は修道院に入り、長い時が経って騎士の訃報を聞いたが…|異世界恋愛・短編

強欲な女 -亡国の宝石妃-

 女は、いつでも微笑していた。 その豊かな髪は純粋な金。その穏やかな瞳は輝けるサファイア。悩ましげな、やや厚い唇はルビーをとかしこんだよう。肌の色は磨き上げた水晶のよう。歯と爪は真珠で出来て、すらりとした目鼻立ち、長いまつげは絹糸に琥珀をひ…