傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。

傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。【IF】太陽に至る坂

「……では、書はこちらに」 わたしが言うと、今度の《太陽の御子》――ユージーンという男は少しためらい、気恥ずかしそうに文を渡した。《太陽の御子》は、遺書のようなものを残すことになっている。文字の書けないものは神殿の筆記係に口頭で伝え、言い残…

傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。1

「大昔からさ、この坂の上から太陽がよく見えたんだって。あ、昔は天然のやつだったんだって」 メエエ、と呑気な羊の声にまじって、もっと呑気にエミリーのやつが言った。「すごいよねえ。太陽って大昔は、天然のものがあって、そのまま空に浮かんでたんだっ…

「傭兵となって帰ってきた青年は、幼なじみの少女に告げた。―坂の下で別れる前に―」目次

ユージーンは故郷の村を飛び出したが、成長して傭兵となり帰ってきた。 彼には、いつも世話を焼いていた幼なじみのエミリーがいた。 戦場をくぐり抜けるたび、思い出すのはなぜかこのエミリーだった。 そのエミリーと再会し、二人で、ある晴れた日に、のど…