「聖女が異世界に残った理由」目次

異世界に召喚された結月は、聖女としての役目を終えてそのまま異世界に残ることにした。
褒美になんでも与えると言われ、“アルシュ”を望んだ。
彼こそが、結月が異世界に残る理由だった。
一方通行にすぎぬ執着だとしても、軽蔑され憎悪されるとしても彼がほしかった。
与えられた邸宅で、結月はアルシュとともに暮らし始めるが…。
初出 2018年 11月16日 ~2018年 11月17日 (「小説家になろう」)

  • 聖女が異世界に残った理由1

     一目見て、殴られたような衝撃を受けた。 くらくらするような感覚、痺れに襲われ、自分ではどうにもならぬほどに目を奪われてその場から動けなくなる。 結月ゆづきは二十一年の人生の中で、はじめてそれを経験したのだった。 一目惚れ。 アルシュと目が…

  • 聖女が異世界に残った理由2

     アルシュと出会う前まで、異世界に呼ばれる前まで、結月はごく普通の女子大生だった。 何ものにも執着したことはない。 周りに流されるまま、高校では髪を染め、制服をアレンジしスカートの丈は詰め、化粧を覚え、短大に入ってピアスを開けた。まつげサロ…

  • 聖女が異世界に残った理由3

     聖女ユヅキの出番ももうない。結月自身、表舞台に出て行きたいとも思わない。 ここには何より欲したアルシュがいた。世話をしてくれる使用人たちの他には結月とアルシュだけの、閉じられた完璧な世界だった。 ――結婚したのだ、アルシュと。 結月はそう…

  • 聖女が異世界に残った理由4

     結月は瞠目する。「番……」「ああ。番を求めて発する体臭が消えてる。頭が冷えたってのもあるんだろ。アルシュは本来、そこらの馬鹿どもより遥かに冷静だからな。恋に頭がおかしくなるってのは人も獣も同じだが、一時的なもんだ」 そう言って、カーデムは…

◆カクヨムにも掲載しています。そちらにサポーター様限定のちょっとした小ネタがあります。

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